Vol.10 沖縄県−那覇市松尾 「琉球漆器」 ※画像データです。少々お待ち下さい。
漆面の装飾は実に様々あり、文様こそは違っても、その技術の名称で区別されます。
写真は「沈金」とよばれるもので、漆器面に刃で文様を掘り、漆を塗り込み、金箔や金粉を押し込んだものです。
そもそも漆器は、食器の耐久性を向上させる事が目的でした。
木製の器に漆を塗り込んだ事からその歴史が始まります。
いまでこそ装飾は華やかなものが多いのですが、こちらの職人さんは、頑なに生活の一部としての漆器作りにこだわっていました。
少しばかり工程の説明をしましよう。
1.一番左は「木固め」という工程がおわったところ。強度を増すと同時に防水の目的で素地へ漆が塗り込まれています。 2.その隣は「布着せ」が終わったところ。素地の変形を防ぐために、麻布がぴったりと敷き詰められています。
3.「下塗り」終了。下地としての漆が塗り込まれています。この工程は最後の仕上げである「上塗り」の効果を良くするために行う工程です。 4.一番最後に目的とする色の顔料を含んだ漆が塗られ完成です。
なお、ここでは超簡単に4つの工程を説明しましたが、実は全部で32工程あるのです。
「漆風呂」と呼ばれる乾燥箱。
この箱の中でほぼ1日かけて乾燥させます。特徴的なのは下面に敷かれた濡れタオル。 実は漆は湿度が80%以上ないと乾かないのです。だからこそ、高湿度である沖縄で開花したといえるでしょう。
漆風呂の上には、石灰で型取られた小物が置かれていました。
漆は基本的には何にでも塗装する事が出来るそうです。
シンプルにまとめられた作業スペース。写真の中央は「手回しロクロ」で、これを回しながら塗装する事もあるようです。
左手の棚に見えているのがヘラとハケ。用途はお察しの通りですが、実はこのハケ、人間の髪の毛を使用しているのだそうです。きめが細かい上、漆との相性が最も良いからだとか、、、。
写真右手奥が生漆。
本来は乳白色しているようですが、砥の粉(コンクリート混ぜる砂利に相当するもの(写真下のビン))が含まれているため、ごらんのように茶褐色になっています。 これに顔料が加えらえ、漆器独特の落ち着いた色合いを醸し出します。
漆器製作のイメージは、塗って、乾かして、研いでの繰り返しで、なんとも根気が必要な作業の連続。中でも研ぎの作業に一番気を使い、最も時間がかかる工程だとか。
「漆器製作とは研ぎの技術の工芸」
全ては「なめらかさの追求」のためにあるといえそうです。